ジモトチFES.レポート「とちぎの“今”を知り、とちぎの“未来”を考えよう」
地元から離れて住んでいるけれど、地元のことも気になる。
そんな栃木県出身者のために生まれたコミュニティが「Jimoto TOCHIGI(ジモトトチギ)」です。
ジモトトチギでは、栃木県のたくさんの「ひと・もの・こと」に出会うきっかけづくりをしながら、首都圏から栃木を盛り上げていきます。
2018年2月25日(日)にジモトトチギが主催で「JIMOTO TOCHIGI FES!U-35限定!栃木県出身者のつどい」を開催しました。
当日のイベントの様子をご紹介します!
会場は、中学校をリノベーションした「アーツ千代田3331」
会場となったのは、東京都千代田区の旧練成中学校をリノベーションして誕生した“アーツ千代田3331”です。
外から見た感じは、学校にしか見えません。
中にはいると、白を基調とした、こんなにおしゃれな雰囲気なのです。上の写真は今回のイベント会場の入り口。
壁には栃木県内で活動されている方々のインタビューパネルが並び、県内の情報がたくさん詰まったフリーペーパーが置いてあります。
イベントは以下のような流れで進みました。
11:30から開場し、「ジモトマルシェ」が開かれます。
マルシェでは栃木県内で愛されている雑貨屋や飲食店が出店されていて、参加者には自由にまわって栃木を感じてもらいます。
13:00からは「ジモトミーティング」。ゲストを交えたトークセッションで”今の栃木”を知り、参加者同士で“これからの栃木”考えるワークショップを行います。
来場された方には、「ウェルカムいちご」と称して、全員にスカイベリーが配られました。
大粒のスカイベリーをお渡しすると、皆さん自然と笑顔に。
地元の名産品とはいえ、なかなか食べる機会のないスカイベリー。ぱくっと一口食べると、皆さんとてもほっこりした表情を見せてくれました。
ここで、ジモトマルシェに出店された一部の店舗をご紹介します。
※全店舗の情報はこちら。
若手オーナーが営む、個性豊かなお店たち
Spirée fleuriste(スピレ フルリスト):栃木市
2018年1月に栃木市嘉右衛門町にオープンしたばかりの花屋さんです。
とてもお洒落で人気のインテリア「ハーバリウム」や、ドライフラワーなどを販売されています。
「栃木にこんなお洒落なお店があるんだ」と、多くの方が足を止めていました。
焼き菓子muku:宇都宮市
精製した白い砂糖やバターは使わず、素材にこだわっているお菓子屋さんです。
毎日食べても罪悪感のない、身体に優しいものばかりなので女性から大人気でした。
2tree open house:宇都宮市
マルシェでは、出展されたオーナーさんとコミュニケーションがとれるのも魅力のひとつです。
商品に関する話はもちろん、実際に地元での暮らしや、お店を営むことについて来場者は興味津々。
宇都宮市のカフェ「2tree open house」のオーナー、倉本祐樹さんのもとへもお客さんがひっきりなしに集まっていました。
大学生によるセレクトショップ:「トチマルシェ」
ジモトトチギの運営に関わりたいと、手を上げてくれた大学生たちが、地元を離れた人たちに知って欲しい「栃木のいいもの」を集めたマルシェを出店。
那須のお米や、足利の葡萄ジュース、宇都宮カクテル、鹿沼組子コースターなどなど。
大学生が県内のつくり手さんの代わりに商品の魅力を伝えて、ファンの拡大に貢献してくれました。
栃木の“今”を知るトークセッション
13:00からは参加者全員メインブースに集まってもらい、トークセッションを開催。
内容は、地域の新しい魅力を見出して発信しているU-35世代の4人のキーパーソンの活動紹介です。
栃木では今、どんな動きがあるのでしょうか。
サシバの里自然学校 校長:遠藤 隼さん
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プロフィール:
宇都宮市出身。幼少期から釣りや探検、ものづくり等が好きで、大学のサークル活動で子どもたちと自然で遊ぶ楽しさに目覚める。卒業後は、静岡県のNPO法人ホールアース自然学校に就職。4年間学んだ後、自転車でユーラシア大陸横断&南米大陸縦断の旅へ。「自分自身が経験と知識を身に付けたうえで、子どもたちに自然体験を提供したい」と、各地の自然学校が開催する子どもキャンプを体験。その後、2016年市貝町に「サシバの里自然学校」を開校。
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市貝町で貴重な生物の生態系を守る活動をしている遠藤さん。世界を旅した後に、市貝町で現在の仕事をするに至った経緯をお話しいただきました。
市貝町には、全国的にも特殊で豊かな自然環境があるものの、おそらくほとんどの人が知らないのではないでしょうか。
地元にはまだまだ知らない魅力や、面白い仕事があるのだという気付きをもらえる時間となりました。
株式会社トライデントワークス 代表取締役:土橋 知仁さん
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プロフィール:
宇都宮市出身。個人事業主として2011年頃からコミックマーケット等での作品発表を行っており、2015年に栃木県宇都宮市にて起業。「多くの人に喜ばれるエンターテインメントを提供する」をミッションに、栃木県内で唯一、ゲーム、アニメ、出版などエンタメ系コンテンツのデザイン、グラフィック制作やグッズ、イベント企画など手掛ける会社となっている。とちぎテレビのご当地アイドルユニット「まろに☆えーる」のグッズ企画なども行う。
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栃木県内唯一のエンタメ系クリエイティブ企業を経営している土橋さん。
「地方ではクリエイティブの仕事ができないイメージがあるけれど、できますよ」と、地方でクリエイティブな仕事をする選択肢があることを参加者に伝えてくれました。
「地方の良いところは作品づくりに集中できること。珍しい存在になれること」というお話も。
地方では自分のやりたい仕事ができない、という声が多く聞こえてきますが、探してみれば確かに存在し、飛び込んでみればオンリーワンの価値を発揮する可能性を秘めているようです。
佐野市地域おこし協力隊/フォトグラファー:大塚 由香里さん
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プロフィール:
栃木市出身。大学で芸術学を専攻後、写真の専門学校へ。広告系フォトグラファーを経て、アパレルメーカーでECサイトを担当。これまでの経験を地元で活かしたいという思いから地域おこし協力隊としてUターン。天明鋳物の魅力を多くの人に伝えるため、ウェブサイトの開設や、地元の鋳物師や短大生と協力し伝統工芸と「食」を結びつけるパンフレットの作成など、幅広く活動中。協力隊と並行して、フォトグラファーとしての仕事も行う。
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大塚さんからは、佐野市での生活や、これまで培ってきたスキルを地元で活かす方法について話をしていただきました。
都内から地元に移り住むとしたら、日々の生活がどう変わるのかも知りたいところです。大塚さんは車を持たずに自転車で移動しているそうで、リアルな生活の苦労や楽しさを紹介いただきました。
東京での生活も経験した大塚さんにとって、佐野市での生活は「田舎過ぎず、自然もあってちょうど良い」とのこと。
地域おこし協力隊として働きつつも、写真撮影のスキルを活かした仕事づくりの話も、Uターンを考える人たちには刺激になったようです。
日光スケーターズクラブ 代表 若林 勇太さん
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日光市出身、東京都杉並区在住。2014年までスピードスケート競技者として活動を行う。引退後リクルートに入社し、SUUMOメディア推進を担当。同時に日光市にて日光スケーターズクラブを創設。2017年リクルートを退社し、現在は日光市の活性化とスポーツ文化発展を目的に日光スケーターズクラブを運営、児童生徒向けのスケートスクール開催、中古スケート再利用事業、飲食店提携による地元産業の活性化に取り組んでいる。
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東京に住みながら、日光市でビジネスを展開する若林さん。
スピードスケートの選手であったご自身の経験と、地元の日光市が抱える問題をもとに、「スポーツに触れる機会をつくり、経済効果を生む」ことに挑戦されています。
地元から離れて住んでいても、地元に貢献することができる。そんなロールモデルとしての実例を示していただきました。
ここでサプライズで登場してくださったのが、栃木県知事の福田富一氏。
普段なかなか知ることのない、栃木県の名産品や産業の話をしていただきました。
会場からは「知らなかったことばかり。地元ってこんな特徴があったんだ」と、地元への興味が高まったという声も。
最後に福田知事から、「栃木県への想いを、同郷の人と話すことで思い出して欲しい」という言葉をいただき、ワークショップに移りました。
“これからの栃木を考える”ワークショップ
ここからは、参加者全員参加型のワークショップの時間です。
「これからの人生で自分は、栃木とどう関わっていくか」を考え、みんなで応援していくことが目的です。
今回のワークショップでは、栃木県と自分の関係を「恋愛」に当てはめて考えてもらいます。
栃木県の好きなところ、嫌いなところを3つずつ挙げて、それを受け入れてどうやって栃木県と関わっていきたいのか……をグループ内で意見交換をしていきます。
移住することだけが地元と関わる方法ではありません。住むことはもちろん、それ以外で関わりを持つとしたら、どんな形があるだろう。そんなことをみんなでアイディアを出し合います。
意見交換中は、みんな真剣ながらも笑い声が聞こえてくるなど、終始なごやかムード。
そんな中、特に盛り上がっていた3つのチームに発表をしてもらいました。
栃木の“好きなところ”で挙がったのがこちら。
“自然が多い・ほどよく都会・住みやすい・人との繋がりがもてる・ごはんが美味しい・交通の便が良い(都内に近い)・人があたたかい……”などなど。
一方、“嫌いなところ”はこんなことが挙がりました。
“魅力がわかりにくい・遊ぶ場所が少ない・交通の便が悪い(県内では車が無いと生活ができない)・終電が早い・仕事の幅が狭い・外でお酒が飲みにくい……”など。
それを聞いた福田知事はひとつひとつ丁寧に、これらを改善するために県内で動いていることを聞かせてくれました。
「県内を移動する際の交通の便が悪い」という声には、「県内のどこに住んでいても必要な足の確保や、駅から観光地を結ぶ導線づくりにも力を入れているところです」とのこと。
「年収の高い仕事が少ない」という声には、「年収800万円以上の仕事を紹介できるような動きを準備中です」という、新たな動きについても教えてくれました。
知事へリアルな声を届けられる、とても貴重な機会となりました。
そんな良いところも悪いところもある栃木県と、どうやって付き合っていきますか?という問いには、とてもユニークな答えが。
「しばらくは東京にいながら遠距離恋愛を続けて、今の仕事が一段落したら結婚(移住)したいかなあ」
「僕は週末婚の関係でいようと思います。平日は東京で働いて、週末は栃木県で過ごしたいです」
「ビジネスパートナーでいたい。東京に住みながら、遠隔で栃木県に関する仕事がしたい!」
地元との付き合い方、想いの持ち方は人それぞれということを再発見できた時間となりました。
十人十色の“地元との関わり方”を応援します!
白熱したワークショップの最後は、参加者全員で記念撮影をしました。
都内で栃木県出身の人たちが80人ほど集まった当イベント。
会場の壁には、こんなアンケートパネルを用意し、参加者自身が当てはまる方にシールを貼ってもらいました。
「栃木でなにかやってみたい」、「いずれ地元に帰りたい」にたくさんの「YES」が集まりました。
ジモトトチギはそんな想いをもつ栃木県出身者たちに、理想の形で地元に関わってもらいたい。そんな想いで、きっかけやコミュニティづくりに挑戦していきます。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
(文:鈴木 彩華)