栃木県出身のU35向けイベントレポート「Jimoto TOCHIGI FES!2019 今の栃木を集めました」編
住んでいる頃は特別に意識したことが無かった地元のことも、離れて初めて「知りたい」「恋しい」など思うようになった人も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは首都圏在住の栃木県出身者のコミュニティ「Jimoto TOCHIGI(ジモトトチギ)」のイベントのひとつ。「Jimoto TOCHIGI FES!2019 今の栃木を集めました」です。今回は概ね35歳以下の若者が対象のイベントで、昨年に続いて2回目の開催です。
地元のことが気になってきた、という参加者たちへ今の栃木の面白いひと・もの・ことを発信したり、Uターンをした先輩たちの体験談をお伝えしたり、みんなで語り合う時間をつくります。
栃木県で有名な食べ物のひとつと言えば、いちご。受付が終わったら全員に1粒ずつ、大粒のスカイベリーが配られました。
1人で参加する人も多かったので、入ってくるまではみんな少し緊張気味。
ひと口じゃ食べられないくらい大きなスカイベリーを前にすると、そんな緊張も和らいで思わずみんな笑顔になりました。
今回、総合司会として場を盛り上げてくださるのは、喋り屋・芸人として活躍されている下野市在住の永井塁さん。
会の始めのアイスブレイクには、面白おかしく栃木県に関するクイズを出題してくれて、会場を一気に和やかな雰囲気にしてくださいました。
プログラム1つめは、栃木県で活躍されている3人のキーパーソンのトークセッションです。みなさん一度は地元から出て首都圏に住んだ経験のある方々ばかり。
お1人ずつ、どんなお仕事をしているのか、栃木と関わることになったきっかけについてお話していただきました。
ものづくりがやりたくて、地元の酒蔵に電話をかけまくりました
1人目は、宇都宮でクラフトビールを提供・醸造する「BLUE MAGIC(ブルーマジック)」にて、店舗と醸造の責任者を兼任されている中尾真仁さん。
埼玉県の大学の建築学科に進学した後、もともと栃木県でものづくりの仕事がしたいという想いが強かったそうで、大学を卒業してUターン。
今の仕事に携わることになった経緯をこう話します。
「栃木県の不動産会社で営業をしていたのですが、やっぱりものづくりがしたくて違和感があって退職しました。
それからいろんなお店で飲み歩くようになって、隣に座っていた人に日本酒の蔵に若手がいなくて困っているという話を聞いて。日本酒造りもものづくりのひとつだと思ったので、やってみたくなりました。
それで、県内の酒蔵マップを見て片っ端から電話をかけて、醸造に関わらせてもらえる酒蔵はないか探しました」
自ら酒蔵にテレアポをするという行動力で、希望の仕事を見つけたという中尾さん。その後、現在のBLUE MAGICのオーナーと出会い、立ち上げから携わっているそうです。
それからはビールの醸造を通して、様々な地域の原料やイベントとコラボレーションをしながら、栃木の良いもの・魅力を発信しています。
地元には、自分を必要としてくれる人たちがいる
2人目は、都内の美術大学でグラフィックデザインを学んだのち、地元の日光にUターンした手塚真亜子さん。
現在は実家の「村上豊八商店」で伝統工芸である日光彫の職人をされています。家業を一緒に営むことになった経緯を、こう話してくれました。
「もともとはクラシックバレエをやるために上京しました。バレエに区切りをつけた後は絵の勉強をして美大を卒業したのですが、自分がやりたいことが分からなくなってしまったんです。精神的にもうダメになりそうな時に親が見かねて、ずっと東京で頑張ってきたから1回帰ってきたら?と声をかけてくれました」
仕事を見つけるための準備期間に、と考えて地元に帰って家業を手伝っていたものの、日光彫の現状を知り、何とかしたいという思いが強くなっていったそうです。
東京に住んでいる時は居場所が無く孤独感が強かったけど、地元に帰ってきたら自分を必要としてくれる人と出会えて、家族もいて、自分らしい毎日が過ごせていると言います。
自分らしい道を探して試行錯誤をした結果、地元に行きついた手塚さんはこう締めくくります。
「ものが溢れているなかで、あえて日光に来て、自分の商品を選んでくれる人たちの期待に応えるために、良いものとは何かを追求し続けたいです」
ダメもとで独立。自分らしく仕事ができる基盤をつくりUターンへ
3人目は、SpearMint(スペアミント)代表でグラフィックデザイナーの鶴見裕也さん。
鶴見さんは現在、埼玉県に住んでいますが、週の半分ほどは地元の足利市で仕事をしています。埼玉県と足利市との二拠点生活を始めたきっかけや、お仕事について話してくださいました。
「地元に関わるきっかけは結婚でした。会社員としてデザインの仕事をしてるけれど、この先もずっと、一生、東京で慌ただしく働く人生で良いのかと疑問に思ったんです」
そこで鶴見さんは、足利市でデザイナーとして転職できる場所があるのか調べましたが、希望する環境は見つかりませんでした。
悶々と考えていた時期もあったそうですが、ダメもとで1人でやってみよう!ダメなら東京で再就職すればいいや!と一念発起して独立されました。
「足利の街にはフレンドリーな人たちがたくさんいます。地元に関わるようになってから仲良くなった人たちがいっぱいいて、今では店に行くとだいたい知り合いがいるような環境です。その繋がりから、いろいろな仕事をご紹介いただけるようになりました」
鶴見さんのデザインのお仕事は、足利市に関するイベントのデザインや、団体のロゴ、ビールのパッケージなど多岐にわたります。
「自分に期待して仕事を任せてくれるクライアントがいるので、より仕事が好きになりました。足利は自分らしくいられる街だと確信しているので、近い将来Uターンできるように頑張りたいです」
地元で自分の居場所を見つけ、自分の想いをカタチにしてきた3人の登壇者たち。
会場には、地元へ帰るかどうか悩んでいる人が多くいらっしゃいました。でも、地元に帰る選択をした人の話を聞く機会はなかなかないとのことで、参加者からこんな感想をもらいました。
「東京に住むメリットも知っているので、地元に帰るのはなかなか決断ができずにいるのですが、実際に地元に飛び込んだ方の話を聞いて発想が広がりました。自分にとって、何が大切なのかを考えてみます」
葛藤しながらも決断し、地元を舞台に行動してきた登壇者たちの経験談は、都内に住んでいる人たちにとって新鮮で、物事の見方を変える要素が詰まっていました。
栃木県の1日広報として、情報発信をするワークショップ
トークセッションの次は、地元を題材にしたワークショップを行いました。ファシリテーターは、小山市出身でYouTuber活動もしている永井祐大さん
毎年、栃木県の魅力度ランキングの順位が低い、というのはご存知の方が多いのではないでしょうか。これまで開催したジモトトチギの参加者にも、「栃木には良いところがたくさんあるのに、魅力度ランキングが低いのが悲しい」と言う方が多数いらっしゃいました。
そんなアピール下手な栃木県の良いところをしっかりと発信するために、この時間は参加者全員が栃木県の広報担当になりきってもらいます。
具体的なお題は、みんなで「栃木」をテーマにしたtwitterの投稿を考えること。
それを ジモトトチギの公式twitter に掲載し、みんなで協力して拡散させよう(バズらせよう)というワークショップです。
どんな投稿をするとバズりやすいのか、レクチャーを受けてグループごとに考えていきます。
すごく真剣に、頭をひねらせて案を出している参加者たち。手元には栃木県に関する資料が用意されているので、面白そうなネタを探しています。
「栃木県のバスって、電子マネー使えないよね」
「この方言知ってる?」
「インパクトのある栃木の名産と言えばやっぱり、しもつかれかな?」
地元が一緒だからこそ理解できたり共感できたりする話ばかりで、各グループ盛り上がっていました。
各グループ1つに絞って、紙に書いて発表していきます。
栃木県出身だからこそ知っている方言を盛り込んだ、こんなツイートを考えたグループもありました。
ライサマが鳴る国語の授業中、手わすらしてた生徒が教科書の読む部分がわからなくなる。先生が「しゃーねぇーな、うらのやつに教わればだいじだ!!」
意味がわかったらリツイート!!#栃木弁#栃木あるある— Jimoto TOCHIGI@2/24 U35栃木県出身者限定イベント開催! (@JimotoTOCHIGI) 2019年2月24日
また、栃木県を走るローカル線に関する内容も、会場の共感を呼んでいました。
電車のドアが開かない。
開くようになると「春になったなぁ」#次の電車は1時間後#両毛線 #日光線 #烏山線#時刻表 #ドア手動#栃木あるある#田舎あるある— Jimoto TOCHIGI@2/24 U35栃木県出身者限定イベント開催! (@JimotoTOCHIGI) 2019年2月24日
発表後にすぐ、実際にジモトトチギのtwitterアカウントで各グループのツイートが発信されました。
その後、全てツイートが10回以上はリツイートされていて、一番拡散されたものは29リツイート。6000回以上もtwitter上で見られていました。
「栃木の魅力をもっと知って欲しい」という想いをどこかに持っていても、実際に発信する機会はなかなかないのではないでしょうか。
ワークショップを通して、自分で地元のことを発信する楽しさを発見できる時間になりました。
最後は、交流会です。
お料理は、栃木県ゆかりの方々が栃木県の食材を使用して作ってくださいました。
渋谷・外苑前でランチ食堂を営むことり食堂の中里希さんのご飯のほか、デザートはフードコーディネーター・管理栄養士の松本加奈美さんによるとちおとめを使った「ヨーグルトムース」、しもつかれアレンジ料理家の川村葉子さんによるしもつかれを使ったケーキ「ガトーしもつかれ」でした。
美味しい食事とともに、希望者には中尾さんのBLUE MAGICのクラフトビールや、栃木県の地酒やカクテルなどが振る舞われました。
また、会場では運営メンバーの大学生や社会人たちが”みんなに紹介したい栃木の商品”をセレクトした「ジモトショップ」も出店しました。
手塚さんがつくったリップミラーをはじめ、大谷石でできたアロマストーンや、栃木県で評判の話題のお菓子や飲み物などなど。
セレクトした運営メンバーたちが、参加者に地元のものの魅力を伝えていました。
最後に、参加者のみなさんに栃木県への想いを伺いました。
「栃木県の良さを、もっといろいろな人に知って欲しい」
「みんなで地元のスポーツを応援したい」
「地元で働ける職種にもっと幅が欲しい」
など、写真で紹介した3名の参加者以外にも様々な想いを聞かせてくれました。
なかでも、栃木県の魅力をもっと人と共有したい、栃木県のことをもっと知りたい、という想いを持つ方が多くいらっしゃいました。
「栃木への想いを一言」という、自由度の高い問いを投げかけられた時に出てくる言葉は、本人が潜在的にでもとても強く想っていることなのでしょう。近い想いを持つ参加者同士でも繋がりが生まれていました。
トークセッションの最後に「今日からできる栃木県との関わり方を教えてください」という質問が出ました。中尾さんと鶴見さんは共通して「チェーン店ではない地元のお店に行くことがおすすめ」と回答されていました。
地元の情報は、その土地の飲食店に集まってきます。そこには人や情報を繋げてくれる人がいるから、積極的に外に出て食べ歩きましょう、という話をしてくれました。
ジモトトチギは首都圏に住みながらも栃木県に関心がある人たちが集まった場でした。普段はあまり接する機会がない同郷の人たちや、地元の情報に出会うキッカケになったことでしょう。同じ関心事を持つ人との出会いは、物事を前進させるものです。
また今回、ジモトトチギを開催するにあたって協賛・協力いただいた企業・団体様は、株式会社ファーマーズ・フォレストさん、宇都宮餃子会さん、岩下食品株式会社さん、宇都宮大学さんです。この場を借りて御礼申し上げます。
今後もジモトトチギは、県外に住む栃木県出身者が地元との関わりをつくる第一歩をつくっていきます。これからも応援よろしくお願いいたします。